海外向けコンテンツ制作の必須ポイント(1)
海外向けコンテンツ制作の必須ポイント(1)
概要
- 今も昔も「コンテンツ・イズ・キング」
- ターゲットに語りかける前に、ターゲットを知る
- ネイティブを制作チームに
今も昔も「コンテンツ・イズ・キング*」
「コンテンツ・イズ・キング(コンテンツの質が最も大事だ)」というのは、今も昔も変わりません。そして、このデジタル時代においてキングのパートナーであるクイーンの役割を果たすのが「コンテンツの配信方法」です。情報が溢れる今、質の高いコンテンツはこれまで以上に重要となっています。コンテンツはオーディエンスと関わるきっかけとなり、ブランドの本質を伝え、検索ランキングを上げ、最終的にはビジネスを成功させる力を持っています。今回は、主に海外のオーディエンスに向けた、効果的でインパクトのあるコンテンツ制作のポイントをお伝えしていきます!
まず、コンテンツとは何を指すのか?動画、Webサイト内の情報、SNS、プレスリリース、出版物など、あらゆるコミュニケーションツールのことを「コンテンツ」と定義します。よって、コンテンツは数え切れないほど種類があります。
コンテンツ制作を任されたものの、どのように進めれば良いのか分からず苦労したという話を耳にします。それも海外向けとなると、ターゲット地域の文化や海外市場を理解する必要があり、チーム内に外国人がいない場合はさらに苦戦します。このような状況を避けるためにも、ターゲット地域に熟知したパートナーの存在が重要となります。
今回と次回の2回に分けて、「海外向けコンテンツ制作のポイント」を見ていきましょう。
ターゲットに語りかける前に、ターゲットを知る
企業が成長し続ける上で、海外進出が選択肢となるのが当たり前の時代となりました。しかし、「何をどこから始めたら良いのか分からない」「海外向けコンテンツをどのように制作すれば良いのか分からない」という声も少なくありません。私自身も、かつてフォーチュン500にランクされる日本企業と何十年も仕事をする中で、同じような課題に直面し、頭を抱える企業を数多く見てきました。
多くの日本企業は、国内向けに制作したコンテンツをそのまま翻訳し、海外のオーディエンスに向けて発信しています。しかし、このようにただ「翻訳された」コンテンツは理解しにくく、あまり洗練されたプロフェッショナルな印象を与えません。
では、どうすれば良いのか?日本特有の価値観や文化的背景を含むコンテンツは単なる「トランスレーション」ではなく、「トランスクリエーション」する必要があります。トランスクリエーションとは、原文のコンセプト、詳細な内容、そこに含まれる文化的背景までを理解した上で、対象地域の言語に的確に変換していく作業のことを指します。対象地域の言語のネイティブであるコピーライターが仕上げる文章には不自然さがなく、オーディエンスの心を掴み、ビジネスの扉を開きます。つまり、ターゲットを知ることで、より効果的なコンテンツ制作が可能となるのです。また、対象地域によって好まれるフォントや色使い、レイアウトといったデザイン面でも、トランスクリエーションが重要となります。コンテンツの配信方法も、対象地域に合わせて最適なプラットフォームを選ぶ必要があります。
ポイント1
- 日本特有の価値観や文化的背景まで翻訳されるとは限らない
- 海外向けコンテンツはトランスクリエーションする必要がある
- フォントや色使い、レイアウトなどのデザインを対象地域の文化に合わせる
- コンテンツの配信方法も慎重に選ぶべき
ネイティブを制作チームに
前述の通り、コンテンツを発信する際にはターゲットを知り、ターゲットに語りかけることが不可欠で、分かりやすく言えば「郷に入れば郷に従え」ということです。コンテンツ制作者は自社のサービスや製品をどう訴求するか、コンセプト開発を任されることもあります。その時には、料理を皿に綺麗に盛り付けるのと同じように、ターゲットの好むスタイルでコンテンツを提供することが必要になります。つまり、「メッセージの中身=メイン料理」を「どう体験してもらうか」が重要となり、それを実現することが成功の秘訣となります。
日本企業は「何」を伝えるべきかについては分かっていますが、それをいかに洗練された形で海外のオーディエンスに向けて伝え、魅了するかをもっと理解する必要があるでしょう。日本人のみで構成された制作チームが手掛けた海外向けの広告は、海外オーディエンスにとって内容は伝わるものの、どこか不自然さを感じることがよくあります。これを避けるには、ネイティブの外国人が加わった制作チームを構成することが重要となります。
ポイント2
- 質の高いコンテンツには、「メッセージの中身」を作るだけでなく、「どのように体験してもらうか」も重要
- 海外向けコンテンツ制作にはネイティブの外国人が加わった制作チームやパートナーが必要
まとめ
今回は海外向けコンテンツを制作する際のポイントを紹介しました。次回は海外向けコンテンツの制作に関わるプロジェクトメンバーやそれぞれの役割について解説していきます。
*1970年代にある雑誌内で誕生したフレーズ。その後ビル・ゲイツ氏がビジネス会議で使用したことにより、世界的に知られるようになりました。
海外向けコンテンツの制作やプロジェクト管理に関するご質問等がありましたら、こちらよりご連絡ください。
筆者プロフィール
マイケル・フーバー
早稲田大学院で日本史を学ぶ。その後、25年以上にわたり異文化間コミュニケーションの指導や講演活動を行い、さまざまな立場からグローバルコミュニケーションのマネジメントに携わり、日本を代表するフォーチュン500社のクライント向けにサービスを提供してきた。UBIQ株式会社は企業のブランド管理、コンテンツ制作、海外進出アドバイスなどを行う広告代理店。私生活では2001年から鎌倉の大仏のもとで暮らし始める。
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